コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス - 文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究 平成22年度~26年度

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会議・シンポジウム

下記の研究会を開催し、盛況のうちに終了致しました。多数の方にご参加いただき、ありがとうございました。
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文部科学省科学研究費新学術領域
「コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス」
平成22年度研究会

日程

開催日 平成23年3月4日(金)-3月5日(土)
会場 東京大学工学部6号館63号室

プログラム

3月4日(金)
13:25 - 13:30 押山 淳: はじめに
「スピンエレクトロニクス材料の探索」
13:30 - 14:10 佐藤 和則小田 竜樹: スピンエレクトロニクス材料の探索
14:10 - 14:20 ディスカッション
「第一原理系励起状態の多体論と高転移温度超伝導物質デザイン」
14:20 – 14:30 高田 康民(東大物性研): 第一原理からの多体問題:我々の視点
14:30 – 14:45 吉澤 香奈子(上智大理工): 電子ガス中の1原子問題:遮蔽電子の遍歴と局在
14:45 – 15:00 白井 光雲(阪大産研): ホウ素、硬い半導体による高Tc超伝導探索
15:00 – 15:10 ディスカッション
  コーヒー・ブレーク
「第一原理有効模型と相関科学のフロンティア」
15:30 – 15:45 三宅 隆: 芳香族超伝導体の電子構造
15:45 – 16:05 中村 和磨: 第一原理有効模型導出法のさらなる改善に向けて:次元縮約理論構築およびRPAコード大規模並列化
16:05 – 16:10 今田 正俊: 補足
16:10 – 16:20 ディスカッション
「第一原理分子動力学法による構造サンプリングと非平衡ダイナミクス」
16:20 – 16:40 常行 真司: 熱伝導の第一原理計算と常行班全体報告
汎用非調和原子間力モデルのパラメータを第一原理分子動力学法で決定し、非平衡古典分子動力学法を用いて熱伝導係数を決定する試みを中心に紹介する。
16:40 – 17:00 吉本 芳英: GRAPE-DRを用いた平面波基底第一原理計算
GRAPE-DRが使える環境を整備し、その試験として平面波基底第一原理計算プログラムxTAPPをGRAPE-DRを使うように手直ししてその性能を評価した。この環境整備から性能評価までの報告をする。
17:00 – 17:10 ディスカッション
「密度汎関数法理論に基づく非平衡ナノスケール電気伝導ダイナミクス」
17:10 – 17:40 渡邉 聡: 密度汎関数法理論に基づく非平衡ナノスケール電気伝導ダイナミクス
標題の下で進めている本班の研究の本年度の成果のうち、東大(渡邉 聡)グループ、理科大(渡辺 一之)グループ、神戸大(相馬 聡文)グループのものをまとめて紹介する。具体的には、カーボンナノチューブの交流応答特性、銅/酸化タンタル接合系の印加電圧への応答、電子‐フォノン散乱を考慮した4端子電気抵抗計算、グラフェンリボンにおけるスピン偏極電流や光励起子生成過程などに関する結果を報告する他、輸送特性計算のアルゴリズムについての張班との議論についても紹介する。
17:40 – 17:50 小野 倫也: 実空間輸送特性計算コードの開発と輸送特性シミュレーションの進展
実空間手法に基づきナノ構造の輸送特性を計算する第一原理計算コードの最近の発展とそれを用いたアプリケーションについて報告する。具体的には、最近開発したグリーン関数を計算することなく散乱波を求める計算手法の紹介と、それを用いてグラフェンナノフレークのスピン輸送特性を計算した結果の紹介を行う。
17:50 – 18:00 ディスカッション
  懇親会
3月5日(土)
「多自由度・大規模系における反応と構造空間探索」
10:00 - 10:20 倭 剛久: 視物質ロドプシンの吸収波長制御メカニズム
ロドプシンは超高感度の光センサータンパク質である。その光吸収極大波長は棲息域の光学的環境に適応している。海中の魚類は、深度に応じてロドプシンのアミノ酸配列を変化させ、光吸収極大波長を調節している。我々はアナゴのロドプシンとその祖先型ロドプシンの立体構造をホモロジーモデリング法で予測し、長時間分子シミュレーションで統計アンサンブルを生成、さらに高精度の分子軌道法で吸収スペクトルを解析した。そして、吸収波長制御の分子機構をあきらかにした。
10:20 - 10:40 倭 剛久: ミオグロビンと気体分子の相互作用解析
ミオグロビンは生体中で気体分子をヘムに結合し筋肉組織中で貯蔵する。最近、ミオグロビン内のヘムから一酸化炭素分子が光解離するプロセスの時間分解X線結晶解析が行われた。我々は分子シミュレーションとX線結晶解析の実験データを組み合わせて、ミオグロビンと気体分子の相互作用に関する平均力ポテンシャルを求めた。その結果、気体分子のミオグロビン内での移動制御に、タンパク質分子の動きが重要な役割を果たしていることが明らかになった。
10:40 - 10:50 ディスカッション
「プロトン・ミューオンで探る新物性と量子ダイナミクス」
10:50 - 11:20 中西 寛: 物質環境下におけるプロトン・ミューオンの第一原理計算法の開発、多体系量子状態計算手法の開発、高圧下における金属水素化物にみる水素効果
11:20 - 11:30 Markus Wilde: Pd(110)単結晶表面における水素吸収ダイナミクスと触媒反応性
11:30 - 11:40 ディスカッション
「ナノ構造形成・新機能発現における電子論ダイナミクス」
11:40 - 11:50 押山 淳: 炭素ナノチューブの基板表面への選択的配列可能性
炭素ナノチューブの物性機能を応用に活かすには基板表面に制御よく配列することが重要である。シリコン原子層ステップおよびサファイア表面での整列の可能性の探索結果を報告する。
11:50 - 12:00 宮崎 剛: オーダーN法プログラムCONQUESTの最近の進展
NIMSとUCLで共同開発しているオーダーN法第一原理計算プログラムCONQUESTの最近の発展、特にNIMS側で行われている研究について報告する。具体的には、次世代スパコンでの超並列計算に対する準備としてopenMP+MPIのハイブリッド並列化の作業と効率について現状を報告する。また、アルゴリズムの変更によるプログラムの高速化、それを用いた生体系に対する大規模計算の試みを紹介する。
12:00 - 12:10 尾崎 泰助: 密度汎関数法における低次スケーリング法の開発
密度汎関数法における固有値対角化と厳密交換エネルギーの計算に対して低次の計算オーダーを有する新しい計算手法を開発したので報告する。
12:10 - 12:20 土田 英二: 質量最適化による第一原理MDの高速化
第一原理分子動力学計算を行う場合には、常に計算の負荷が非常に高いという難点があり、高速化するような手法が強く望まれている。本講演では、原子の質量を最適化し、有限温度における位相空間の探索を効率化するようなアルゴリズムについて紹介する。通常、原子の質量は原子の座標に依存しない対角型の行列で与えられるが、この方法では原子座標に依存するような非対角行列に拡張する。この行列の成分を古典的な力場で近似することで、位相空間が等方的になるような変換を行うことができる。また、運動方程式の数値積分についても効率の良い方法を開発した。液体の水(64分子系)について検証を行い、アンサンブル平均を不変に保ちつつ3倍程度の高速化を実現できることを示した。本手法は特に平衡状態における平均構造や自由エネルギー計算において有用であると期待できる。また、オーダーN法と同時に利用することで、大規模系のシミュレーションをより手軽なものにできる。
12:20 - 12:30 ディスカッション
  ランチ
「計算物質科学の基盤となる超大規模系のための高速解法」
13:30 - 14:10 張 紹良: 計算物質科学の基盤となる超大規模系の高速解法
計算物質科学の基本的問題となるシフト線形方程式と一般化固有値問題に関する高速解法の試みを報告する。
14:10 - 14:20 ディスカッション
「大規模並列環境における数値計算アルゴリズム」
14:20 - 14:50 高橋 大介: 大規模並列環境における数値計算アルゴリズム
10ペタフロップス級の次世代スパコンに向けた数値ライブラリの一つとして、高速フーリエ変換(FFT)は物質科学アプリケーションで多く使われることが予想される。次世代スパコン「京」に向けたFFTコードの開発状況とT2K筑波システムにおける性能評価の結果について報告する。さらに、アクセラレータ(GPGPU)において線形計算の高速化を実現し、性能を評価した結果についても報告する。
14:50 - 15:00 多田野 寛人: Block Krylov アルゴリズムによる連立一次方程式の求解高速化
複数右辺ベクトルをもつ連立一次方程式は、様々な分野で現れ、高速化が望まれている。本発表では、数値的不安定性に強い Block Krylov アルゴリズムについて述べ、アルゴリズム面の高速化と、チューニングによる高速化の相乗効果で、同方程式の求解が高速化できることを示す。
15:00 - 15:10 ディスカッション
「超高速・超低消費電力物質科学シミュレーション方式の研究開発」
15:10 - 15:30 平木 敬: 次世代超低消費電力スーパーコンピュータへの基礎検討
100ペタフロップスから1エクサフロップスを目標とする次世代スーパーコンピュータ構築の基礎は、必要とされる超低消費電力を実現するためのアーキテクチャ・マイクロアーキテクチャ選択である。我々は、様々な実現方式から、最も適したアーキテクチャを選択する基礎として、過去20年にわたるマイクロプロセッサの演算速度および消費電力の精密評価を行った。発表では、測定結果の一部と、そこから外挿される次世代スーパーコンピュータの基本アーキテクチャの可能性について紹介する。
15:35 - 15:50 稲葉 真理: 高生産性言語と最適化コンパイラ
大規模科学技術計算ソフトウェアシステムは、長年にわたりさまざまな研究者に利用され、機能追加されることも多いという特徴を持つため、保守性およびソースコードの可読性が重要な要素である。動的言語 Ruby は、高生産性/高保守性で知られるが、その動的な性質から最適化が困難であることが知られている。ここでは、今年度我々が開発した、静的データフロー解析に基づき Ruby の最適化を行うコンパイラを紹介し、これが科学技術計算について、C言語と遜色ない性能をあげたことを報告する。また、稲葉班の他の研究について俯瞰し報告を行う。
15:50 - 16:00 ディスカッション
16:00 - おわりに
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